雑誌「東京人」の11月号(10/3発売)の巻頭エッセイに私の文章が載っております。書店で見かけたらぜひお手にとってみてください。
以下、エッセイ中で触れているコンサートと曲について簡単な補足を。
取り上げたコンサートは、江崎昭汰さんによるこちらの演奏会でした。江崎さんはベルギー留学中の若手ピアニストで、その若さにもかかわらず既にして楽譜蒐集家として世界のトップレベルにあろうという方。かのマルカンドレ・アムラン氏からも一目置かれる存在なのです。
文中に挙げた「DSCHによるパッサカリア」は、のDSCHというのはドミトリー・ショスタコーヴィッチ(ソ連時代のロシア人作曲家)の頭文字から来ています。戦時の世の中で作曲を続けたショスタコーヴィッチには様々な葛藤がつきまとっていましたから、DS(Es)CHを象徴的な音型として用いることで曲の根幹に大きな苦悩の刻印がなされるわけです。この曲では、象徴音型として最も有名な「BACH」(もちろんバッハから来ています)と「DSCH」が組み合わされる鉄板の展開もあり、事前にある程度の基礎知識を仕入れてから聴くことで、作曲家がその部分で何をやっているのか飛躍的に理解度が高まるタイプの作品です。
ご興味おありの方は、江崎さんが当日のライブ収録映像を全編公開してくださっているので、お時間あるときにでもぜひチェックしてみてください! すごい作品ですよ。
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