『ピアニストたちの祝祭』で紹介していただきました

ご献本いただきました、青柳いづみこ『ピアニストたちの祝祭』。類まれなピアニストでもある著者の綴るピアノ演奏会や音楽祭のレポートは唯一無二。同じピアノの奏者としてはこれほど何を書いてあるのかよくわかる・納得できる評もありません。演奏会の内容を丁寧に1曲ずつ紹介している場所も多く(並大抵なことではないですね)、演奏会を聴く喜びがそのまま文章になっているもので、ついつい読みふけってしまう。しかも該博な知識と広い交流をもとにしたハッとするような比較や考察のおもしろいこと。

内田光子やバレンボイムについての章は聴き手の立場で読んで実に甘美。フジコ・ヘミングについてもなるほどという切り口がたくさんあって、一度きちんと生で聴いてみたいなあと思わされました。

さて、そんな本の中、アルゲリッチ音楽祭やラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポンと並んで(?)昨年のアルカン生誕200年記念コンサートも取り上げていただいておりまして……。いやはや、素晴らしいピアニストについて青柳さんが素晴らしい言葉で解説してあるのを読むのは楽しいばかりですが、その俎上に載せられるのが自分となるとそりゃあまあ、恐ろしい。しかし、私の演奏についてもとても好意的な言葉で評してくださっていて、しかもそこに描かれる姿が私自身にとって好ましい演奏スタイルに寄ったもので、嬉しくてドキドキしてしまいました。まだまだ精進して、読む人に甘美と思わせるような演奏評を書いていただけるようになりたいものです。

私がフジコ・ヘミングについて聴いてみたいなあと思ったように、誰かがこの文章を読んで私の演奏を聴いてみたいなあと思ってくれると嬉しいな、などと空想しつつ。ピアノ好きの人には堪らない本だと思いますので、ぜひお手にとってみてくださいね。そうそう、アルカン記念コンサートだけでなくて、「女性作曲家音楽祭」の章にも私ちらっと登場してます。

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コメント & トラックバック

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  1. posted by かおり

    図書館で借りてきて読み終わったところです。
    最近までアルカンのことを知らなかったのが残念です。もし生誕200年コンサートを聴いた上でこの論評を読んでいたら、この上なく充実した読書タイムになっただろうなーと。

    青柳さんは演奏と文筆業を高いレベルで両立させている本当に稀有な方だと思いますが、唯さんの書かれる文章も負けず劣らず面白いですよ。ぜひ後に続いてくださいませ!

    青柳さんには弟さんのことも論評していただけないかなと思っております。

    • ありがとうございます。
      最近アルカンのことを知っていただけた、というのもまた嬉しい限りです。
      青柳さんは本当に知識・知性・感性の優れた方で、私なんぞにはとても真似はできませんが、そう言っていただけるのは光栄です。チャンスがあれば挑戦していきたいものです。

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